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2010年3月 8日 (月)

津波防災の難しさ その3

前回までは、潮位観測所のデータを元に考えてみました。
潮位観測所のデータを津波の高さと比較する場合には注意が必要です。

  • 潮位観測所は港内に設けられている場合が多いので、防波堤等の施設による水位変化の影響が有る場合があります。
  • 潮位観測は短周期の波浪による水位変動の影響を少なくするために、観測井戸につながるパイプを細くしてあるので、短周期の津波の水位変化に追従できていない場合が有ります。

つまり、潮位観測所で観測された水位は、実際の津波水位と異なる可能性が高いので、浸水痕や目撃者ヒヤリングにより特定しているのが実態です。
今も、多くの研究者が手分けして現地の踏査を実施しています。

○津波はどれだけの速さで伝わってくるのか?
津波は、長波の特性を持っているので、水深をパラメータとする式で波速が示されます。
太平洋の平均水深を4000mとすると、平均速度は200m/秒(720km/時間)となり、ジェット機airplaneと同じくらいの速度となります。だから、チリで起きた津波でも24時間程度で日本に到達します。
○津波の到達時間、高さの予測はどうしてできるのか?
津波の予測は、地震によって生じた海底地盤の変形から海面変動を想定し、海底地形と海底の摩擦やコリオリ力等を考慮して運動方程式を解くことで、太平洋の津波伝播の計算が可能となっています。
津波の予測については、いろいろな機関で行われていますが、東北大学では過去の三陸地方の津波災害の経験から、海外の津波まで現在も継続した研究がされています。
遠地での地震発生については、今回のように予測計算を実施する猶予があります。

しかし、日本近海で発生した地震に対しては、数分で津波が襲ってくる場合があります。
この場合は、過去の地震津波を元に、今後発生の可能性がある地震の震源を想定し、データベース化することで、津波発生の有無と規模等を瞬時に予報を発令できる仕組みがとられています。(気象庁のHP参照)

○津波災害と地域特性 なぜこれまで東北地方で被害が大きかった?
東北地方の沿岸部は、リアス式海岸の地形となっていて、間口が広く、奥が狭い湾が沖合いに向かって開いています。
津波の特性として、津波高は水面が狭まり、水深が浅くなると大きくなり、湾の奥で水面が高くなる傾向があります。
そのため、東北地方の太平洋沿岸で津波の被害が多く発生してきました。

詳しくは、気象庁のページを見てください。

つぎは、津波の防災教育の課題について書いてみます。

 

その4につづく。

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コメント

なるほど、津波の測定すら難しいということが分かりました。
次の防災教育ですが、私も高校生に1時間かけて津波を教えています。v=√gh とかね。津波速度を計算させると、みなさんビックリしております。
でも「授業で津波に興味でてきた~、一度本物を見てみたい」と言い出す生徒がいて、「えっ、絶対だめだよ!」という会話が毎年展開されております。

投稿: Repu | 2010年3月10日 (水) 05時48分

本物を見るときには高いところから見てくださいね。coldsweats01
今回は遠地津波だったので、研究者も結構海まで行って観察していたようです。でも皆さん、タワーなどの高くて津波でも壊れない場所から観察してます。
海岸には近づかないでください。

長波の波速式も教えているんですね。

投稿: Nekton | 2010年3月10日 (水) 20時29分

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